学生・若手研究者のための研究お助けツール集
(近藤が助けられているツール)
研究活動はある意味、情報戦です。何を知っているか知らないかで、選べる選択肢が大きく変わってきます。私は大学院生が周囲にほとんどいない環境で学部・修士生活を送りました。研究室に配属され、PIから論文紹介や実験、学会発表などを任されましたが、右も左もわからない中で研究室生活を始めました。一方、博士課程からはビッグラボへ移りました。そこで諸先輩方からさまざまなことを一から教えていただき、多くのテクニックや情報を共有していただきました。改めて、周囲の環境や情報の重要性を痛感しました。
現在は私が学生だった頃と比べ、多くのことが変わったと思います。特にAI関連の技術の発展は目覚ましいものがあります。こうしたAIを嫌悪する研究者も多く見受けられますが、個人的には使い方次第だと考えています。AIは非常に便利で、使い方によっては研究の効率を何倍にも高めてくれます。一方で、AI時代だからこそ、情報を取捨選択する能力の重要性が年々高まっていると感じます。
これは自分自身の備忘録も兼ねていますが、少しでも情報共有できればと思います。
AI研究アシスタント
ChatGPT
ChatGPTはOpenAIが開発した対話型AIで、研究活動の多岐にわたる場面で活用できます。英語論文の要約や翻訳、難しい概念の説明、研究アイデアのブレインストーミングなど、研究者の思考パートナーとして機能します。特に便利なのは、自分の研究について対話しながら考えを整理できる点です。実験計画を相談したり、統計解析の方法を質問したり、論文の構成について意見をもらったりと、使い方は無限大です。プログラミングのデバッグやコード作成も得意なので、データ解析やシミュレーションのスクリプトを書く際にも重宝します。ただし、AIが生成する情報は必ずしも正確とは限らないため、特に専門的な内容や最新の研究については、必ず一次情報を確認する習慣をつけましょう。無料版でも十分使えますが、有料版は推論能力が高く、より複雑な質問にも対応できます。
Claude
ClaudeはAnthropicが開発したAIで、特に長い論文の分析や複雑な文章の作成に強みがあります。一度に大量のテキストを読み込めるため、複数の論文を比較分析したり、長大な実験データを整理したりする際に非常に便利です。丁寧で詳細な説明をしてくれるので、難解な論文の内容を噛み砕いて理解したいときや、複雑な概念を学びたいときに適しています。英文校正やリライトも得意で、自分が書いた英語論文のドラフトを洗練させる際にも活用できます。論文執筆の際には、章立ての提案やアウトライン作成、参考文献の整理など、執筆プロセス全体をサポートしてくれます。ChatGPTと併用して、それぞれの得意分野で使い分けるのがお勧めです。こちらも、学術的な内容については必ず原典を確認し、AIの出力をそのまま使うのではなく、自分の言葉で書き直すことが重要です。
研究関連
Google Scholar
Google Scholarは論文検索の基本中の基本です。キーワードを入れるだけで関連する学術論文を網羅的に探すことができます。特に便利なのが「引用元」機能で、気になる論文を引用している最新研究も簡単に追跡できます。また、特定のキーワードや著者名でアラート設定をしておけば、新着論文が出るたびに自動で通知が届くので、常に最新の研究動向をキャッチできます。マイライブラリ機能を使えば自分だけの論文データベースを構築でき、著者名で検索すればその研究者の全論文リストやh-indexも確認できるため、共同研究の相手を探す際にも重宝します。
Connected Papers
Connected Papersは1つの論文を起点として、関連論文のネットワークを視覚的なグラフで表示してくれる画期的なツールです。似た内容の論文が近くに配置されるため、自分の研究領域の全体像が一目で把握できます。論文は時系列で色分けされているので、その研究テーマがどのように発展してきたのか、最新の動向はどうなっているのかがすぐに分かります。「Prior works」で研究の源流を辿ったり、「Derivative works」でその後の発展を追跡したりできるのも便利です。Google Scholarの検索では見つけにくい関連論文も発見できることが多いので、文献調査の際には必ず使いたいツールです。
Mendeley
Mendeleyは論文管理の定番ツールです。PDFファイルをドラッグ&ドロップするだけで、論文のタイトルや著者、出版年などのメタデータを自動的に取得してくれるので、手動入力の手間が省けます。PDF内に直接ハイライトやメモを書き込めるため、後で読み返すときに自分の考えをすぐに思い出せて便利です。さらにWordやLibreOfficeのプラグインを使えば、論文執筆時に引用文献リストを自動生成できるので、参考文献の整理に悩む必要がありません。タグやフォルダで論文を整理しておけば、必要な文献をすぐに見つけられますし、共同研究者とライブラリを共有する機能もあるので、グループでの研究活動にも対応できます。
英語表現チェック
このサイトには論文でよく使われる英語の接続詞や表現の使い分けが一覧でまとまっています。「However」「Therefore」「Moreover」といった論理展開に必要な語句の使い方が簡潔に説明されているので、英語で論文を書く際の迷いを素早く解決できます。特に日本人が間違えやすいポイントが押さえられているため、執筆中にちょっと確認したいときのクイックリファレンスとして非常に役立ちます。ブックマークしておいて、英文を書くたびに参照することをお勧めします。
論文執筆・翻訳
最近はChatGPTやClaudeがだいたいやってくれます。それでも自分の文章を丁寧に確認したいときや、専門的な翻訳の精度を高めたいときには、これらの専門翻訳ツールの使用頻度はまだまだ高いです。
DeepL翻訳

DeepLはAI翻訳の中でも特に自然な日本語⇔英語翻訳に定評があるツールです。英語論文の内容をざっと理解したいときは、まずはここに貼り付けてみるのがお勧めです。文脈を考慮した翻訳なので、専門用語も比較的正確に処理してくれます。また、自分で書いた英語文章が適切かどうかをチェックする際にも使えます。日本語で書いた文章を英訳してみて、それをもう一度日本語に戻してみることで、意図した意味が伝わる英文になっているか確認できます。無料版でも5,000文字まで翻訳可能なので、アブストラクトや短いセクションの翻訳には十分対応できます。私は有料版を使っています。
Google翻訳
Google翻訳はDeepLとは異なるアルゴリズムを使っているため、両方で翻訳して比較すると翻訳の精度がぐんと上がります。同じ文章でも微妙にニュアンスが異なる訳が出てくるので、より自然な表現を選ぶことができます。また、対応言語数が非常に多いので、英語以外の論文を読む必要があるときにも重宝します。音声入力機能を使えば発音の確認やプレゼンの練習もできますし、リアルタイム翻訳機能で長文の論文も一気に翻訳できます。スマホアプリ版では画像内のテキストも翻訳できるので、紙の資料をその場で読むときにも便利です。
Grammarly
Grammarlyはスペルミス、冠詞の抜け、単複の間違いなど、英語を書く際に起こりがちな基本的なミスを自動で検出してくれるツールです。無料版でも文法チェック、スペルチェック、句読点の修正が使えるので、論文を投稿する前に必ず通すことをお勧めします。ブラウザの拡張機能をインストールしておけば、Google DocsやWebメールでもリアルタイムでチェックしてくれるので、執筆しながら修正できて効率的です。有料版ではさらに文章のトーン調整や高度な文法提案が受けられますし、盗作チェック機能もあるので引用の抜け漏れ防止にも役立ちます。英語で論文を書く際の最後の砦として、非常に頼りになるツールです。
最近の研究動向チェック
科研費データベース (KAKEN)
KAKENは科研費(科学研究費助成事業)で採択された研究課題を検索できるデータベースです。自分の研究テーマに近い国内研究者を見つけたり、共同研究の可能性を探ったりする際に非常に役立ちます。研究概要だけでなく、成果報告書や発表論文のリストも閲覧できるため、その研究がどのように進展したのか、どんな成果を上げたのかまで把握できます。将来的に自分が科研費を申請する際の参考資料としても非常に有用で、採択された研究計画書の書き方を学ぶこともできます。キーワード検索や研究機関での絞り込みも可能なので、効率的に情報を探すことができます。
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外部資金
生物系(近藤が)が出せそうな外部資金 (今後、科研費、財団助成金、学会の研究奨励金、JST・AMEDプログラムなどの情報を追加予定)