ぼく(専門:魚類行動生態)が論文投稿できそうな投稿先を整理してみた

 

自分自身が実際に論文を投稿するようになるまでは、掲載誌(ジャーナル)を意識して論文を読むことはほとんどなかった。投稿を始めてみると、周囲には「まるでジャーナル博士だ!」と感心するほどジャーナルに詳しい人がいる。そこで、まだ手探りではあるが、ChatGPTに聞きつつ、投稿候補となり得るジャーナルを整理した。我々“ちいかわ”研究者には、APC(論文掲載料)を自前の研究費だけで賄えるほどの余裕はない。APCの有無や金額は、投稿先を選ぶうえでどうしても重要な基準とならざるを得ない。悲しいかな。
誤りがあればご容赦いただきたい。内容は随時更新する。

超トップ総合誌

Nature(IF 50)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $11,690(約175万円)
科学界最高峰の総合誌。ChatGPT曰く、行動生態学研究を掲載するには単に優れた発見では不十分で、生物学全体や科学全体を揺るがすような革命的発見が必要らしい。例えば、生物の基本原理を書き換えるような配偶システムの普遍的法則の発見、気候変動が全生物の行動に与える影響を予測する新モデル、ヒト社会の理解にも直結する社会性進化の根本メカニズムなど、分野を超えた強い波及効果が求められる。査読は極めて厳格で複数回の大幅改訂が一般的。編集者による事前スクリーニングで大半がデスクリジェクトされる。掲載されれば研究者人生を変えるインパクトがありますが、行動生態学単独での掲載は現実的にかなり困難。

Science(IF 50)

OA形態: 購読出版(OA希望は姉妹誌Science Advancesへ)
APC: なし
Natureと並ぶ総合科学誌の双璧。全科学分野を網羅し、行動生態学でも広範な科学的意義を持つ画期的研究が必要。研究の革新性、方法論の厳密性、結果の明確性が重視され、広い読者層に理解可能な形での提示が求められる。ChatGPT曰くNatureと比較すると、やや米国色が強く、社会的関心の高いテーマ(保全、気候変動、人間行動との関連など)が好まれる傾向があるらしい。速報性も重視されるため、タイムリーな研究トピックは評価されやすい。Natureと同様、編集者による厳しい事前選別あり。

 

生態学・進化学のトップ総合・準総合

Nature Ecology & Evolution(IF 14)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $12,690(約150万円)
Nature姉妹誌で、生態学と進化生物学に特化した最上位ジャーナル。Nature本誌と同等の編集基準を持ちながらも、生態・進化分野により焦点を絞っているため、Nature本誌ほどの学際性は必須ではないらしい。配偶システム、社会行動、採餌戦略など行動生態学の中核テーマで画期的発見があれば有力な投稿先。特に大規模データセット解析、先進的統計手法、長期野外研究、実験と理論の統合などが高く評価される近年の傾向。査読は厳格ですが、Nature本誌で求められるような「科学全体への革命的インパクト」までは必要なく、生態・進化分野での明確な新規性と重要性があれば掲載可能性あり。

Nature Communications(IF 15)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $6,290(約94万円)
Nature姉妹誌のオープンアクセスジャーナルで、高品質な研究を幅広く掲載。分野横断的研究に強く、行動生態学でも遺伝学、神経科学、気候科学など他分野との接点にある研究が適している。査読基準は高いもののNature本誌やNEEほど「革命的」である必要はなく、「堅実で高品質な科学的貢献」があれば掲載可能性がある。フルOAのため可視性が非常に高く、引用されやすいという大きな利点がある。大規模比較研究、ゲノムワイド解析と行動データの統合、新しい追跡技術を用いた移動行動研究などが多数掲載されている。

Science Advances(IF 15)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $5,500(約83万円)
米国科学振興協会(AAAS)が発行するオープンアクセスの学際的ジャーナル。Science誌の姉妹誌として、高品質でありながらScienceほど「革命的」でない研究を幅広く掲載。学際性と広い可視性が特徴で、行動生態学でも気候変動、保全、人間社会との関連など社会的関心の高いテーマが歓迎されるらしい。フルOAであるため多様な読者層にリーチでき、政策立案者やメディアにも注目されやすいという利点がある。査読は厳格ですが、Scienceと比べると掲載のハードルはやや低く、堅実な科学的貢献があれば十分に掲載可能性がある。

生物学・生態学のトップ

PNAS(IF 9)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $4,700(約71万円)
米国科学アカデミーの機関誌で全科学分野を網羅する総合誌ですが、生態学・進化生物学の論文も多数掲載。速報性と可読性が重視され、論文の長さも比較的コンパクト。行動生態学では、明確な仮説検証、エレガントな実験デザイン、インパクトのある結果が求められる。理論研究、野外実証研究、実験室研究のいずれも掲載されるが、結果の解釈が明快でより広い生物学的文脈に位置づけられることが重要。総合科学誌のため他分野研究者からも認知されやすいメリットがある。

Current Biology(IF 7)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $6,700(約101万円)
Cell Pressが発行する総合生物学誌で、分子生物学から行動学、生態学まで幅広く扱う。「生物学における現在のホットトピック」を標榜し、タイムリーで注目度の高い研究が好まれる。行動生態学では、動物の認知能力、配偶者選択の新メカニズム、社会学習、文化的伝達など、行動の進化と至近メカニズム両方に関心を持つ読者にアピールする研究が適している。論文形式も多様で、長編論文(Article)、短報(Report)、レビュー、Dispatchなどがある。

PLOS Biology(IF 8)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $5,500(Research)/ $2,382(その他)(約83万円/約36万円)
Public Library of Scienceが発行するオープンアクセスの総合生物学誌。高品質な研究を誰でも自由にアクセスできる形で提供することを使命とし、社会的リーチが広いことが特徴。行動生態学でも、保全、動物福祉、人間の行動理解など社会的関心の高いテーマが歓迎される。編集部は論文のストーリー性や可読性も重視し、図表やビデオなどの補足資料も充実させることが推奨される。査読は厳格で複数の専門家による評価が行われ、査読者のコメントと著者の返答も公開されるため透明性が高い。

Ecology Letters(IF 8)

OA形態:購読出版可(任意でOA化)
APC: $4,500(約68万円)
生態学分野で最もIFの高い専門誌の一つで、「一般化可能性」が極めて重視される。単一種や単一生態系の研究でも、そこから導かれる原理や理論が広範な生物や環境に適用可能であることが必須。行動生態学では、最適採餌理論の検証、配偶システムの比較研究、捕食者-被食者相互作用における行動の役割など、理論的枠組みが明確で一般性の高い研究が適している。論文は短く簡潔(通常5,000語以内)で、メインポイントが明快であることが重視される。理論研究、メタ解析、大規模比較研究なども頻繁に掲載され、概念的貢献が高く評価される。査読は非常に厳格で、複数回の改訂が一般的。

Proceedings of the Royal Society B(IF 4)

OA形態:購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,050(約46万円)
英国王立協会が発行する生物学全般の看板誌で、1900年代初頭から続く長い歴史と権威がある。行動学・生態学は同誌の中核分野であり、配偶者選択、性選択、親の投資、社会行動の進化など、行動生態学の王道的テーマで数多くの重要論文が掲載されてきた。理論と実証のバランスが良く、進化生物学的視点が明確な研究が好まれる。比較系統学的手法を用いた研究や、実験進化、数理モデルと野外データの統合なども評価される。2024年から二重盲検査読(DAPR)が必須となり、より公平な審査が期待されます。ChatGPT曰く、歴史的に重要な論文が多く掲載されており、この雑誌に載ることは行動生態学者にとって大きな名誉。

The American Naturalist(IF 3)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,000(約50万円)
1867年創刊の歴史ある学術誌で、概念・理論志向の研究に特に強みを持つ。厳密な一般化を重視し、数理モデル、最適性理論、ゲーム理論などを用いた理論的研究が多く掲載される。行動生態学では、配偶戦略の進化動態モデル、性比の理論、協力行動の進化ゲーム理論分析などが適している。実証研究でも明確な理論的予測の検証や、理論と実証データの緊密な統合が求められる。論文は一般に長く(10,000語程度も珍しくない)、詳細な数理的展開やシミュレーション結果を含むことが多く、オンライン付録に複雑な数式や証明を掲載することが一般的。理論的に厳密な研究を評価する読者層に支持される。

Evolution(IF 3)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,600(約54万円)
米国進化学会の公式誌で、進化生物学全般を扱う最も権威ある専門誌の一つ。行動の進化、特に性選択、配偶システムの進化、社会性の進化などのテーマで多くの古典的論文が掲載されてきた。行動進化の機構(遺伝的基盤、発達過程)と適応的意義の両方に関心があり、定量遺伝学的アプローチ、比較系統学、実験進化などの手法が好まれる。人工選択実験、飼育下での進化実験、野外集団における自然選択の測定なども頻繁に掲載される。理論的枠組みが明確で、進化的プロセスの理解に貢献する研究が評価される。IFはそれほど高くbないが、進化生物学コミュニティでの評価は非常に高く、この分野の研究者には必読の雑誌。

Biology Letters(IF 3)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $2,195(約33万円)
英国王立協会が発行する短報専門誌で、迅速な出版が最大の特徴。論文の長さは3,500語以内(図表含む)と非常にコンパクトで、明確な単一のメッセージを持つ研究が適している。投稿から最初の判断まで数週間、受理から出版まで数週間という機動力があり、タイムリーな結果を早く公表したい場合に有力な選択肢。行動生態学では、新しい現象の発見、既存理論の簡潔な検証、方法論的革新などが掲載。

行動生態学・生態学”ど真ん中”の専門誌

Animal Behaviour(IF 3)

OA形態:購読出版可/任意でOA化
APC: $2,740(約41万円)
動物行動学会(ASAB)とAnimal Behavior Societyの公式誌で、1953年創刊の歴史ある専門誌。古典的な行動観察研究から最前線のゲノミクスを用いた研究まで、幅広い行動生物学の研究を扱う。配偶行動、親子関係、採餌、コミュニケーション、社会行動など、行動生態学のあらゆるテーマが掲載対象。ティンバーゲンの四つの問い(機能、系統、メカニズム、発達)すべてにわたる研究を歓迎し、至近要因と究極要因の統合も重視される。野外研究、実験室研究、理論研究のバランスが良く、方法論的にも多様です。購読制を選択すれば著者負担なしで出版可能なため、予算制約がある場合の強力な選択肢。行動生態学の王道ジャーナルとして最も安定した評価を得ている。

Behavioral Ecology(IF 2)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,200(約48万円)
国際行動生態学会(ISBE)の公式誌で、行動の適応的意義に焦点を当てた研究を中心に扱う。配偶システム、性選択、親の投資、最適採餌、捕食回避行動など、行動生態学の中核的テーマで数多くの重要論文が掲載されてきた。理論的予測と実証データの統合が重視され、最適性理論やゲーム理論を用いた研究が多く見られる。統計解析の厳密性も重要な査読基準で、近年では一般化線形混合モデル(GLMM)やベイズ統計などの手法を用いた研究が増えている。購読制を選択すれば著者負担なしで出版可能です。ISBEの公式誌として行動生態学コミュニティで最も影響力のあるジャーナルの一つ。

Behavioral Ecology and Sociobiology(IF 2)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $2,990(約45万円)
社会行動、配偶戦略、コミュニケーション、協力行動の進化に特に強みを持つ専門誌。1976年の創刊以来、社会性昆虫、鳥類、哺乳類の社会行動研究で多くの重要論文を掲載。血縁選択理論、互恵的利他主義、配偶者選択、親子対立など、社会行動の進化理論と実証研究の両方を扱う。行動内分泌学(ホルモンと行動の関係)や行動免疫学(免疫と配偶行動の関係)など、行動の生理的基盤にも関心がある。ヨーロッパの研究者を中心に高い評価を受けており、社会行動に焦点を当てた研究であればこのジャーナルが第一選択肢となる。

Ethology(IF 1.5)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $2,990(約45万円)
動物行動学(エソロジー)の古典的専門誌で、ローレンツやティンバーゲンの伝統を引き継ぐヨーロッパの比較行動学を代表。行動の至近要因(神経生理学的メカニズム、感覚生態学、発達過程)に関する研究が多く掲載されますが、究極要因(適応的意義、進化)に関する研究も扱う。行動レパートリーの詳細な記述、新しい行動パターンの発見、行動発達の縦断的研究など、記述的・観察的研究も価値ある貢献として認められる。比較行動学的視点を持ち、異なる種間での行動の類似と相違を探求する研究が歓迎される。IFはそれほど高くありませんが、古典的エソロジーの伝統を重視する研究者にとっては重要なジャーナル。

Behaviour(IF 1)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $2,990(約54万円)
Brillが発行する古典的な行動学専門誌で、1948年創刊。古典的エソロジーから現代の行動生物学まで幅広く網羅。ローレンツ、ティンバーゲンの時代から続く伝統を持ち、記述的研究から実験研究、理論研究まで扱う。行動の至近要因と究極要因の両方に関心があり、比較行動学、神経行動学、行動発達、行動生態学など多様なテーマを扱う。長い歴史を持つジャーナルとして、行動学の基礎を重視する研究者に評価される。

Behavioural Processes(IF 1.5)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,370(約51万円)
Elsevierが発行する動物行動専門誌で、理論的視点を含む原著研究を扱う。行動分析学、認知、動物行動学、生態学、進化の視点から動物行動を考察する研究を歓迎。基礎的な行動現象の研究と応用的意義のある行動研究の両方を掲載。無脊椎動物から脊椎動物まで、理論と方法論を統合した学際的研究が特に歓迎。ヒトの行動に関する研究も、非ヒト動物研究との関連性が明確であれば掲載対象となる。多様な行動研究アプローチを受け入れる柔軟性がある。

Journal of Ethology(IF 1)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $2,990(約45万円)
日本行動生態学会(Japan Ethological Society)の英文公式誌で、1982年創刊。野外研究、実験室研究、理論研究を幅広く扱います。記述的研究から定量的研究まで歓迎し、観察研究にも開かれている。Editor’s Choice記事は毎年選ばれてオープンアクセスとなり、一部は公式YouTubeチャンネルで動画紹介される。アジアの研究者にとって文化的・地理的に親和性が高い。

Animal Cognition(IF 2)

OA形態: 費用必須(2024年からフルOA)
APC: $2,990(約45万円)
動物の認知能力、学習、記憶、意思決定に焦点を当てた専門誌。行動生態学と比較認知科学の橋渡しをする役割を持ち、野外や自然条件下での認知実験が増えている。空間記憶と採餌戦略、社会的学習と配偶者選択、数的能力と資源評価など、認知能力の生態学的・進化的意義を探求する研究が適している。実験室での厳密な認知実験から野外での認知タスクまで幅広い手法を扱う。認知と行動生態学の統合に関心がある研究者にとって重要なジャーナルの1つ。

Zoological Science(IF 1)

OA形態: 購読出版可
APC:
日本動物学会(Zoological Society of Japan)の公式英文誌で、動物学全般を扱う。形態学、分類学、系統学、発生学、生理学、生態学、行動学など幅広い分野をカバー。アジア・太平洋地域の動物相に関する研究も多く掲載。日本およびアジアの研究者コミュニティで広く読まれており、英語が母語でない研究者にとっても投稿しやすい雰囲気がある。動物学の多様な側面を統合的に扱うため、行動生態学研究を他の動物学的側面(形態、生理など)と関連付けて議論したい場合に適している。

Zoological Letters(IF 2)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $2,390(約36万円)
Zoological Scienceの姉妹OA誌。古典的動物学からゲノミクス、バイオインフォマティクスまで幅広いテーマを扱う。短報形式が中心で迅速な出版が特徴。発生学、系統進化学、ゲノム研究、行動学など多様な研究を歓迎。BMCの一部として高い可視性を持ち、フルOAにより誰でもアクセス可能。短報として素早く成果を公表したい場合の良い選択肢。

Animal Biology(IF 1)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,400(約54万円)
Brillが発行する動物学統合誌で、1872年にRoyal Dutch Zoological Societyの公式誌として創刊された歴史あるジャーナル。行動、発生生物学、生態学、内分泌学、進化生物学、ゲノミクス、形態学、神経生物学、生理学、系統学、理論生物学など動物学の幅広い分野を統合的に扱う。純粋に記述的な論文は掲載されず、統合的視点や新しい知見が求められる。長い歴史を持つヨーロッパの伝統的ジャーナルとして、動物学の多様な側面を横断する研究に適している。

Journal of Zoology(IF 2)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC:$3,850(約58万円)
ロンドン動物学会(Zoological Society of London, ZSL)が発行する歴史ある動物学誌で、1830年創刊。動物行動、生態学、保全生物学、進化など「仮説駆動型」研究を特に歓迎。野生動物の行動・生態研究に強く、保全への応用も重視。形態学、生理学、繁殖生物学なども扱うが、明確な仮説と検証が求められる。ZSLは世界的な保全機関でもあり、保全に関連する研究が評価されやすい傾向がある。野生動物の行動研究で保全的意義も示せる場合、このジャーナルは良い選択肢。APCはやや高めですが、ZSLブランドと保全分野での影響力は魅力的。

Frontiers in Zoology(IF 2)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $3,400程度(約50万円)
BioMed Centralが発行するフルOA動物学誌で、動物学の学際的統合を志向。行動学、発生生物学、生理学、進化生物学、ゲノミクスなど多様な視点からの研究を歓迎。Frontiers形式の査読システム(査読者名公開、インタラクティブな査読)を採用し、透明性が高いのが特徴。Research TopicsやSpecial Issuesも頻繁に企画され最新トピックを扱う。フルOAによる高い可視性と、BMCブランドによる信頼性がある。動物学の複数の側面を統合する研究や、学際的アプローチに適している。

Ecological Research(IF 2)

OA形態:購読出版可(任意でOA化)
APC: $2,990(約45万円)
日本生態学会(Ecological Society of Japan)の公式英文誌で、Wileyから発行されている。生態学専門誌で、陸域・水域を問わず生態学全般を幅広く扱う。個体群生態学、群集生態学、生態系生態学、保全生態学、行動生態学、植物生態学など多様な分野の研究が掲載されている。特に東アジアおよび太平洋地域の生態系に関する研究が多く、温帯林、照葉樹林、モンスーンアジアの生態系など、日本を含むアジア地域特有の生態系研究に強み。行動生態学では、動物の生息地選択、採餌生態、繁殖戦略、個体群動態と行動の関係などが適している。査読は建設的で、地域的研究であっても生態学的意義が明確であれば高く評価される。論文形式は通常の研究論文(Original Article)のほか、短報(Short Communication)、総説(Review)、データペーパー(Data Paper)なども受け付けている。国際的な生態学誌と比較して、地域生態系の詳細な記述や長期モニタリング研究なども価値が認められやすい傾向がある。

魚類・生態学系ジャーナル

Journal of Fish Biology(IF 1.5)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,850(約58万円)
Wileyが発行する魚類生物学の総合誌で、Fisheries Society of the British Islesの公式誌。魚類の行動、生態、生理、形態、遺伝、保全など幅広いテーマを扱う。淡水魚、海水魚を問わず、野外研究から実験室研究まで掲載されている。配偶行動、採餌行動、回遊行動、社会行動など行動生態学的研究も多数掲載。メダカを含む小型魚類の研究も歓迎され、モデル生物を用いた基礎研究から野外での応用研究まで幅広く扱います。魚類研究者のコミュニティで広く読まれており、魚類の行動生態学研究であればこのジャーナルが選択肢の一つになる。

Environmental Biology of Fishes(IF 1.5)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,290(約49万円)
Springerが発行する魚類の環境生物学専門誌。魚類の行動、生理、進化、生態を環境との関連で扱う。生息地選択、環境適応、気候変動への応答、人為的影響など、環境との相互作用に焦点を当てた研究が中心。野外観察、実験室実験、理論モデルなど多様なアプローチを歓迎。特に環境変動が魚類の行動に与える影響や、魚類が環境変化にどう適応するかといった研究テーマに強みがある。Journal of Fish Biologyよりも環境・生態的側面に重点を置いた研究に適している。

Ichthyology & Herpetology(IF 1)

OA形態:購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,000(約45万円)
米国魚類爬虫類学会(American Society of Ichthyologists and Herpetologists, ASIH)の公式誌。魚類と両生爬虫類の行動、生態、進化、系統、保全を扱う。2020年にCopeia(1913年創刊)から改称され、より広い範囲をカバーするようになった。両生類・爬虫類も対象とするため、脊椎動物の比較研究にも適している。北米の研究者コミュニティで広く読まれており、特に北米の魚類・両生爬虫類相の研究が多く掲載されている。魚類だけでなく両生爬虫類との比較行動学的研究や、脊椎動物全般の進化的視点からの研究にも適している。

Ichthyological Research(IF 1)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $2,990(約45万円)
日本魚類学会(The Ichthyological Society of Japan)の公式英文誌で、Springerから発行。魚類の分類学、系統学、形態学、生態学、行動学、生理学、保全生物学など幅広い分野を扱う。特に日本およびアジア太平洋地域の魚類相に関する研究が多く掲載。査読は建設的で、記述的研究から実験的研究まで幅広く受け入れる柔軟性がある。日本の研究者にとって文化的・地理的に親和性が高く、アジアの魚類研究コミュニティで広く読まれている。日本産魚類や東アジアの魚類を対象とした行動生態学研究であれば、Journal of Fish BiologyやEnvironmental Biology of Fishesと並んで有力な投稿先となる。

OA・方法論特化など

Methods in Ecology and Evolution(IF 6)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $3,500(約53万円)
英国生態学会が発行する方法論特化の専門誌で、「方法論が主役」の研究を扱う。新しい野外調査手法、統計解析法、モデリング手法、測定機器、ソフトウェア、データベースなどの開発と応用が対象。行動生態学では、新しい追跡装置、自動行動記録システム、画像解析アルゴリズム、行動データの統計解析法などが適している。方法論の革新性、汎用性、再現可能性が重視され、詳細なプロトコルやコードの公開が推奨される。方法論の開発に重点を置いた研究で通常の研究論文としては掲載が難しい場合に最適。

Communications Biology(IF 5)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $6,290(約94万円)
Nature姉妹誌のオープンアクセス専門誌で、生物学全般を扱う。Nature CommunicationsとScientific Reportsの中間的な位置づけで、高品質な研究を幅広く掲載。行動生態学でも堅実で科学的に妥当な研究であれば掲載の可能性がある。オープンアクセスにより可視性が高く、Natureブランドによる信頼性もある。査読は厳格ですがNature本誌ほど「革命的」である必要はない。APCは高め(約94万円)だが、Nature系の権威とOAによる可視性を両立できる。Nature Communicationsへの投稿が難しいと感じる場合の次善策として、または生物学一般により広くアピールしたい場合に適している。

Scientific Reports(IF 4)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $2,590(約39万円)
Nature Portfolioが発行する学際的OAメガジャーナルで、2011年創刊。自然科学全般を幅広くカバー。論文掲載の判断基準は「科学的妥当性」のみで、「重要性」や「インパクト」は問わない。行動生態学の研究も方法論が適切で結論が妥当であれば掲載される。2016年にPLOS ONEを抜いて世界最大の論文数を誇るジャーナルとなり、年間20,000本以上の論文を出版している。世界第3位の被引用数(年間834,000回以上)を持ち、可視性が非常に高いことが特徴。

PLOS ONE(IF 2.5)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $2,382(約36万円)
2006年にPublic Library of Scienceが創刊した先駆的なOAメガジャーナル。「新規性ではなく方法の堅牢性」で判定する方針を採用し、科学的に妥当な研究であればすべて掲載。レジスタード・レポート(事前登録研究)やプロトコル論文も受け付けており、出版バイアスの軽減に貢献。OAメガジャーナルの先駆けとして確立された評価あり。

Biology Open(IF 1.5)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $2,495(約37万円)
Company of Biologistsが発行するフルOAジャーナルで、生物学全般を対象。迅速かつ透明な審査方針を特徴とし、科学的に妥当な研究を幅広く受け入れる。発生生物学、細胞生物学、遺伝学に加え、行動生態学や動物学の研究も掲載。特にゼブラフィッシュなどのモデル生物を用いた研究が多く見られる。査読過程が透明で建設的なフィードバックを重視。Company of BiologistsはJournal of Experimental Biology、Development、Disease Modelsなど他の高品質ジャーナルも発行しており、信頼性の高い出版社。

Royal Society Open Science(IF 3)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $1,990(約30万円)
英国王立協会が発行するオープンアクセスの総合科学誌で、査読過程の透明性と再現性を重視。レジスタード・レポート(研究計画を事前に査読し、結果の如何にかかわらず出版を保証する形式)も受け付けており、出版バイアスの軽減に貢献。行動生態学でも否定的結果、追試研究、データセットの公開なども価値ある貢献として歓迎。査読は科学的妥当性に焦点を当て、「重要性」や「新規性」の判断は読者に委ねるという方針。

BMC Ecology and Evolution(IF 2.6)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $2,765(約41万円)
BioMed Centralが発行するオープンアクセスの生態学・進化生物学専門誌で、審査が比較的迅速なことが特徴。科学的に妥当な研究であれば幅広く受け入れる方針で、否定的結果や追試研究も掲載。行動生態学の研究でもトップジャーナルほどの「インパクト」や「新規性」は必須ではなく、堅実な実証研究や地域的な研究も歓迎。特定の種や地域に関する研究でも、方法論が適切で結論が妥当であれば掲載。

Ecology and Evolution(IF 2)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $2,450(約37万円)
Wileyが発行するオープンアクセスの生態学・進化生物学専門誌で、迅速な査読と出版が特徴。幅広いテーマを扱い、行動生態学、保全生態学、個体群生態学、進化生物学など多様な研究が掲載。査読基準は科学的妥当性を重視し、方法論の適切性、データの質、結論の妥当性が主な評価ポイント。「画期的」である必要はなく、着実な科学的貢献があれば掲載。BMC Ecology and Evolutionと並んで、確実に出版したい場合の有力な選択肢。

PeerJ(IF 2)

OA形態: 費用必須(フルOA:APC $1,195。メンバーシップ加入時は無制限出版)
APC: $1,195(約18万円)、年会費$299(約4.5万円)で無制限出版可能
2013年創刊の革新的なOAジャーナルで、生物科学・環境科学・医学を対象。PLOS ONEの元出版者が共同創設し、ユニークなビジネスモデルを採用。年会費メンバーシップに加入すれば著者は論文ごとのAPCなしで無制限に出版できる(共著者もメンバーシップが必要)。非会員でも$1,195(約18万円)と比較的低コストで出版可能。「科学的および方法論的妥当性」のみで判断し、査読を論文と一緒に公開するオプションもある。複数論文を出版予定の場合、年会費制は圧倒的にお得。

行動生態学との分野適合性が高い候補

Functional Ecology(IF 5)

OA形態: 費用必須(2025年からフルOA)
APC: $3,500(約53万円)
英国生態学会(BES)が発行する専門誌で、機能的・メカニズム志向の生態学研究に焦点を当てている。生物がどのように環境に適応し機能するかという「how」の問いを重視し、形態、生理、行動の機能的意義を探求する研究が中心。行動生態学では、採餌行動の生理的制約、エネルギー収支と行動戦略、気候変動への行動的応答など、行動の機能的側面やメカニズムに関心がある研究が適している。実験的アプローチ、野外での生理測定、個体ベースモデリングなどが評価される。

Journal of Animal Ecology(IF 5)

OA形態: 購読出版可(任意でOA化)
APC: $3,500(約53万円)
英国生態学会が発行する動物生態学の専門誌で、個体群動態、群集生態学と行動生態学の接点にある研究に強みを持つ。個体の行動が個体群や群集レベルのプロセスにどう影響するかという問いに焦点を当て、生息地選択、採餌行動と個体群動態の関連、捕食者-被食者相互作用における行動の役割などのテーマが適している。長期野外研究、標識再捕獲データの解析、個体ベースモデルと野外データの統合などが頻繁に掲載される。実証的データに基づく堅実な研究が評価される一方、理論的枠組みも明確であることが求められる。

Evolution Letters(IF 3)

OA形態: 費用必須(フルOA)
APC: $2,000-2,500(約35万円)
米国進化学会とヨーロッパ進化生物学会が共同で発行するオープンアクセスの短報専門誌。Evolutionの姉妹誌として、より短く(通常4,000語以内)、より迅速な出版を目指している。進化生物学全般を扱い、行動の進化に関する簡潔で明快な研究が歓迎される。新しいデータセットの紹介、既存理論の検証、方法論的革新などが適しており、大規模な研究の予備的結果や興味深いが限定的な発見なども掲載される。フルOAにより可視性が高く、迅速な出版が可能。

Molecular Ecology(IF 4)

OA形態: 購読出版可
APC: $3,700(約56万円)
遺伝学・ゲノミクス寄りの生態学・進化生物学専門誌だが、行動の遺伝的基盤、配偶システムと遺伝構造の関連、社会行動の分子機構など、分子レベルのデータと行動データを統合する研究にも適している。マイクロサテライト、SNP、トランスクリプトーム解析などの分子マーカーを用いて、配偶成功度、血縁関係、移動・分散パターンを明らかにする研究が多く掲載されている。近年ではGWAS(ゲノムワイド関連解析)やRNA-seqを用いた行動の遺伝的基盤の研究も増えている。バイオインフォマティクスや集団遺伝学的手法に精通していることが求められるが、分子データと行動データを組み合わせることで、より深い生物学的理解が得られる研究に最適。

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